歌について・・・

今日は「歌」にちなんで、ある人の話を紹介。

とあるオーディションの会場。携帯電話のセールスマンである彼は、ヨレヨレのスーツで、自信なさげにおどおどし、特に目立った所もない男。審査員は一体何をしに来たのかという顔で聞く。「で、何を歌う?」「オペラです」。周りの観客達は何も期待していなかった。この見た目冴えない男は審査員にひどく批評されて、失格するのかと。
 その彼が歌いだした。ピクリと耳を止める審査員たち。
目を見張る観客達。立ち上がる人々。わきあがる歓声。彼の歌声にだれもが魅了された瞬間だった。オーディションの後、審査員の一人が言う「君は本当に携帯電話のセールスマンかい?信じられないよ」。今テノール歌手として世界で活躍する、「ポール・ポッツ」が誕生した瞬間だった。

彼にとって歌とはなんだったのか。彼がオーディションに応募したのは、一度でいいから大きな舞台で歌ってみたい。願えるなら歌手に。その夢をかなえるためだった。しかしそれ以上に、彼にとって歌とは〜小さい時から唯一自分を慰めるものだった。人前では自信なさげにおどおどし、見栄えもしなかった彼はよく友達から〜からかわれ、いじめられ、自分なんかどうでもいいんだ、と投げやりになったことも。しかし彼は歌が大好きで、教会の聖歌隊で歌ううちに、歌っているときは唯一、今のつらい自分から離れ自由になれる時だと〜元気を取り戻す力だった。

この話を聞いてどう思うだろう。自分にとって歌とはなにか? 

ポールにとって歌とは、切っても切り離せないものだった。それは彼の人生の一部だった。それ以上に、しんどい彼を引き上げ、豊かにし、彼自身を成長させるものだった。

聖書ではこのように言っている。
「我らの魂は主を待つ。主は我らの助け、我らの盾。我らの心は喜び、聖なる御名に依り頼む」(詩篇33編後半)
 聖書を知るものとして、讃美歌のたとえ一つのフレーズでも、一人ひとりにとって励ましを与えるものとなりうるのではないか。