羊毛

 羊の毛はケラチン、というタンパク質で作られているが、
その構造は巧妙である。

 外側を「キューティクル」といううろこ状の構造が被っている
が、これが水をはじく性質を持っている。

 内側は「コルテックス」という構造でできていて、これは
逆に水と仲がよく、保水する性質をもっている。

 キューティクルは乾燥したところでは閉じているため、
水分は逃げにくい。一方で湿度が高い所では開く性質が
あるので、水分を吸収する。

 コルテックスは実は何層もの構造で出来ているが、その
大元はケラチンというタンパク質がラセン状につながっている。

 さらに、このラセンどおしが所々でつながっており、繊維を
ずれにくくしている。

 ところで、羊毛の構造と人間の髪の毛は似ているのだそうだ。
人も髪の毛の中に水分を保つように造られている。

 そういえば、枝毛、というのがあるが、それはコルテックスの
層がいくつにも分かれているということなのだろう。言ってみれば
髪の毛の繊維が悲鳴を挙げている、ということか。

 人の髪の毛一本においても、よく造られているものだ。